PROJECT FILE 04
「キャップオンポール」は分割柱(ぶんかつちゅう)とよばれるコンクリートポールの一種です。
一般のコンクリートポールは地中に埋まった部分から先端まで一体で製造しています。
一方、分割柱とは、あらかじめ複数に分割して製造した部材を、
現場でつなぎ合わせて一本の長いポールとして建柱するものです。
個々の部材が短いため、一般のポールに比べて運搬・搬入がしやすいのが大きな特長で、
ここ数年は主に狭い道路が多い都市部において分割柱のニーズが高まっています。
2008年入社。技術開発部 基礎構造グループ・NC東日本コンクリート工業(株)製造グループの経験を経て、技術開発部 コンクリートポールグループへ。現在は、一級建築士の資格も活かし、新製品の開発設計等に携わっている。
電力・通信等のインフラを支えるコンクリートポール
町中で目にする電柱の多くは、配電や通信用のコンクリートポールです。コンクリートポールは私たちの生活を支えるインフラとして重要な役割を担っており、災害発生時にはいち早い復旧が望まれています。都市部など狭い地域への運搬・搬入の観点からも、スピーディーに現場に運べて施工手順が容易な、新しい分割柱を開発することになりました。
既存製品の長所を取り入れた新しい分割柱
当社がこれまでに開発・製品化した分割柱には、ボルトを使用して上下のコンクリートポール同士を接続する「フランジ式分割柱」と、下のコンクリートポールに鋼管製のポールをキャップのようにはめて接続する「分割式複合柱」があります。
「フランジ式分割柱」は接続に高い精度が求められることに加えて作業工程も多く、施工に時間がかかりますが、部材はコンクリート製で製品価格が抑えられるのがメリット。一方の「分割式複合柱」は接合方式が簡単で施工が短時間で済むものの、製品価格はフランジ式より高いという面があります。
この2製品のメリットを取り入れて開発したのがキャップオンポールです。部材はフランジ式と同じく上下ポールともコンクリート製にして価格を抑え、また、分割式複合柱と同じ接合方式にすることで短時間での施工が可能となりました。今後はあらゆるニーズに対応できるよう、長さ・荷重等のバリエーションを増やしていく予定です。
電力・通信等のインフラを支える新たな製品として
キャップオンポールは既に携帯基地局用アンテナ柱として、東名阪を中心に全国で使用されています。これからも電力・通信等のインフラを支える新たな製品として、お客様のニーズに合った更に良い製品の開発に努めていきます。
コンクリートポールは1950年代にプレストレストコンクリートの技術が取り入れられてから形状・構造は大きく変わることがありませんでした。しかしここ数年で分割柱化へと大きく変化しようとしています。そのため、新製品の研究開発を次々に行う必要があり、忙しいことも多いですが、好きなモノづくりをしていることを実感できる毎日です。
キャップオンポールを開発するにあたり、私は製品設計から試作品の製作、性能確認試験、規格の作成まで行いました。これまでに数品種の試作品を製作し、曲げ試験を実施してきましたが、本当に目標としている曲げ耐力が有るのか結果がでるまで毎回ドキドキしています。
自分が開発に携わった製品を街で見かけることもあり、成果が目に見えるところがモノづくりの魅力だと思います。
キャップオンポールも良く見かける製品となるように、更に開発を進めていきます。